はじめに
コースの特徴
本研修は、単に補綴前処置としての歯牙移動やいわゆるMTMといわれるテクニックの取得という狭い範囲に捉われるのではなく、一般的な本格矯正治療の知識と技術をしっかりおさえた上での部分的な歯牙移動(LOT)を中心に考えていくことに大きな特徴があります。
研修の中では、矯正治療全般にわたる診断力の向上とそれに基づいて歯牙を動かすスキルの獲得が強調されています。
<実習で使用するタイポドント>
臨床でしばしば遭遇するフレアリングケース。治療結果の品質向上に対して、矯正の貢献度は高い。
(ザ・クインテッセンス Vol.24, No.1 2005 著者論文より)
エッジワイズ装置による簡単な補綴前処置
講師紹介
加治 初彦 / Hatsuhiko Kaji
略歴
1983年 | 九州歯科大学卒業 |
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1986年 | ウェストバージニア大学、大学院卒業 Master of Science取得 |
1992年 | 東京歯科大学矯正科研修課程修了 千代田区にて加治矯正歯科医院開業 |
1998年 | 渋谷区にて同分院開業 |
ごあいさつ
日常臨床での矯正学的アプローチは、それを全く考えなくても大きな支障を感じていないという理由で置き去りにされている場合が多い様に思われます。しかしながら不正咬合など問題を抱えている患者の口腔機能の回復に際し、根管処置や支台歯形成が必要であるのと同様に、歯牙移動も本来は必要な場合が多いのではないでしょうか?
日常臨床の中で、必要性を感じてはいても、治療に比較的時間がかかる、診断が分かりづらいなどの理由で矯正はとりつきにくいと感じられる先生方も少なくないと思います。また患者側から見ても、例えば補綴を前提とした歯牙移動が必要なケースなどでは、本来矯正と補綴を行う術者が一致しているにこしたことはありません。私自身、米国で顎関節症の研究を終えて帰国し、一般臨床医の立場から矯正を学び始めたのですが、矯正学の診断力が向上していくにつれ、臨床の巾が大きく広がった経験をすることができました。
こうした経験を踏まえ、コースでは矯正専門医が患者を如何にみて、それを治療に結び付けているのかという観点に立ち、専門医の眼を通した患者の診かたを学んでいただきます。 又、実習では具体的な診断ケース、ワイヤーベンディング、タイポドントを通して確実な実践力を養っていただくとともに、近年多くの臨床で取り入れられるようになりました、歯科矯正用アンカースクリューの臨床と手技についても解説していきます。
更に、成人矯正治療において関連の深い歯周、TDM等との関わりについても科学的に裏打ちされた情報をもとに理論と実践を解説していきたいと思います。
コース概要(全6回、12日間)
受講料
前納金 | 550,000円(税込) |
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講習費 | 88,000円(税込)/ 各回ごと ※全6回 ※再受講希望者は66,000円(税込)/各回ごと ※聴講希望者は55,000円(税込)/各回ごと |
合計費用 | 1,078,000円(税込) |
※別途、矯正用プライヤーが必要となります。
コース日程
講習日:2025年4月~2026年2月 年6回(土日)全12日間
定員:28名
※コース内容につきましては進行状況により若干の変更があり得ます。
講習日(4~2月 土日×6回 全12日間)
2025年 | |
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4月 | 19日、20日 |
6月 | 7日、8日 |
7月 | 5日、6日 |
8月 | 30日、31日 |
10月 | 25日、26日 |
2026年 | |
2月 | 14日、15日 |
コース内容
矯正学概論
- 矯正学についての一般的な知識の理解 (用語の意味、歴史含む)
解剖・組織・生理他
- 矯正に必要な頭頚部の解剖
- 成長と発育
- 歯牙移動のメカニクス
診断学
- 不正咬合の種類等の理解
- 矯正診断の流れとその方法
- VTOの捉え方
トレース/VTO (実習)
- 側貌セファロの意味
- セファロに於けるランドマークの決定とトレーシング技術の取得
- VTOの作成技術の取得
治療学/一般的矯正の診断 (実習)
- 成長期を含む一般的な矯正臨床の治療体系
- 成人矯正治療の特殊性について
治療学/部分矯正の診断 (実習)
- 部分的矯正の手順、手技
- 矯正とその後の補綴処置への移行手順
理工・材料学
- 矯正用材料、器材器具
- ストレートワイヤーシステム
ワイヤーベンディング (実習)
- 矯正治療に必要なベンディング技術の取得
臨床ケース・治療学・タイポドント (実習)
- Angle Class Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの治療例
- Ⅰ級叢生症例のタイポドントを用いたシュミレーション
- Deep bite 上顎前歯Flaring, Severe Spee, 下顎第2大臼歯近心傾斜を併せ持つ症例のタイポドントを用いてのシュミレーション 他