はじめに
今回新たに補綴・インプラント総合マネージメントコースと題して、従来の個々の歯牙の問題解決を中心とした対象療法的な歯科医療の提供から、口腔内を包括的に捉え、根本的な問題解決を重視する歯科医療の提供するための考え方、患者との向き合い方を参加型の実習と講義を通して学ぶ1年間、12回、24日間のコースを開講いたします。口腔内を包括的に行う上での診断、治療計画の作成以外に包括的な治療に不可欠で、普遍的なテーマとしての咬合とその設定に対する考え方、長期的な予後を踏まえた補綴治療の実践などを網羅した内容であります。1年間の学習を通して、対症療法的な歯科医療の提供から口腔内の包括的な問題解決を提案できる歯科医師になるための機会となると思います。受講生には原理・原則に基づいた包括的な治療の提案・提供できる歯科医師として充実した歯科医師としてのキャリアを積んで頂きたいと思います。
講師紹介
藤本 浩平 / Kohei Fujimoto
略歴
1994年 | 東京歯科大学卒 藤本歯科医院勤務、藤本研修会助手 |
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1998年 | ワシントン大学歯学部歯周病科大学院入学 |
2001年 | ワシントン大学歯学部歯周病科大学院卒業 Master of Science in Dentistry(M.S.D)取得 米国歯周病専門医取得 ワシントン大学歯学部歯周病科Teaching Assistant勤務 ワシントン大学歯学部最優秀臨床教授賞受賞 |
2003年 | 藤本歯科医院、歯周外科並びにインプラント外科担当 カリフォルニア歯周病学会(Califolnia Society of Periodontists)、インプラント研究部門 最優秀賞受賞 |
2005年 | アメリカ歯周病学会認定医取得 (Diplomate American Board of Periodontology) |
所属学会
- アメリカ歯周病学会(American Academy of Periodontology)
- アメリカインプラント学会(Academy of Osseointegration)
- 日本臨床歯周病学会
主な論文
- “Historogic Comparison of Osteotomes on the Bone to Inplant Interface,A Pilot Study”2001年、ワシントン大学学位論文
長期予後をふまえた治療計画とインプラント、残存歯をどう扱うか - “Concepts for Treatment Planning With Dental Implants”
ザ・クイントエッセンセス Vol24. No.1,2005
コース概要
受講料
前期前納金 | 550,000円(税込) |
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後期前納金 | 550,000円(税込) |
講習費 | 88,000円(税込)/ 各回ごと ※全12回 |
合計費用 | 2,156,000円(税込) |
コース日程
講習日:2025年4月~2026年3月 年12回(土日)全24日間
定員:24名
※コース内容につきましては進行状況により若干の変更があり得ます。
講習日(4~3月 毎月土日×12回 全24日間)
2025年 | |
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4月 | 5日、6日 |
5月 | 17日、18日 |
6月 | 14日、15日 |
7月 | 12日、13日 |
8月 | 23日、24日 |
9月 | 20日、21日 |
10月 | 4日、5日 |
11月 | 8日、9日 |
12月 | 6日、7日 |
2026年 | |
1月 | 17日、18日 |
2月 | 21日、22日 |
3月 | 14日、15日 |
全12回コース内容
第1回 歯周疾患の基礎と診断
1.現在の歯科医療、特に補綴、インプラント治療に何が求められるか
疾患のパターンの変化と患者の意識並びにニーズの変化
2.補綴治療に際しての病歴、診査、診断の在り方及び治療予後の判定について
3.治療計画の作成:各種症例についての治療計画作成 講義、実習
- 包括的な観点からの診査・評価の重要性
- 患者のニーズの把握
- 口腔内に存在する問題の分析
- 治療計画作成の為の必要条件
- 診査、診断、治療計画立案の実際
- 補綴治療の施術に向けてのシステマチックなアプローチ
第2回 “補綴治療” 補綴治療を成功させる為の咬合接触関係
1.咬合の意義と定義
- アンテリアールガイダンスの意義と決定法
- 咬合高径の決定法
- 咬合平面、咬合彎曲の補綴上の意義
- 咬合の不調和、調和を得る方法
2.中心位
- 中心位の定義とその臨床上の意義について
- 中心位の咬合記録について -講義、実習-
- 咬頭嵌合位記録 -講義、実習-
- 咬合器を使用する意義並びに正確な取扱い方
第3回 咬合採得
1.中心位咬合採得-参加者各自の下顎誘導能力の確認-
2.アンテリアールストップを用いての中心位咬合採得法
3.中心位咬合採得の“理論と臨床法” について学習と訓練を行う前と、行った後の各参加者の顎位採得能力の変化(再現性があるのか)の確認 -実習-
4.インプラント補綴治療における咬合の与え方
- インプラント補綴における咬合の意義
- インプラント埋入後の周囲骨の喪失
- インプラントにおけるプラークと周囲骨喪失との関係
- 咬合圧過剰による骨喪失のメカニズム
- 骨結合破壊に影評を及ぼす因子
- 通常の補綴治療で与えるべき咬合とインプラント補綴の咬合
- インプラント補綴での咬合の原則
第4回 -システマティックトゥースプレパレーションの実際-
1.現代的な環境(Digital)で重要な歯牙形成の条件
- 生物学的条件:歯髄、歯周組織に対する配慮
- 機械的条件 :リテンション、レジスタンス
- 審美的条件 :セラミッククラウン、部分被覆冠における配慮
- デジタルフレンドリー(Digital Friendly)な形成
2.形成ステップの解説
3.実際臨床形成模型の呈示
4.歯牙形成のデモンストレーション
5.歯牙形成実習
6.歯牙形成テスト
7.⑤6⑦ Fixed Partial Denture形成
第5回 精度の高いクラウンブリッジ臨床、歯周補綴治療の為に何を成すべきか1
1.プロビジョナルレストレーション、その意義と作製法―講義、実習
2.精密印象材の解説及びクラウンブリッジ精密印象法について講義及び実習
3.マルチプルダイシステムについてー講義
4.クラウンブリッジ精密印象法とティッシュマネージメントー講義
5.精密ダイ(歯型)の作製―講義
第6回 精度の高いクラウンブリッジ臨床、歯周補綴治療の為に何を成すべきか2
2.マイクロテクニックの実際(実習)
3.クラウンマージンの適合精度を上げる為に何が必要か
4.最近の合着用セメントについて
5.セメンテーションに際しての注意点
6.連結冠又はブリッジに際してのインデックス、特に歯周補綴の場合
第7回 前歯部審美領域における補綴治療に関して
1)顔面の各要素と前歯の関係
2)前歯補綴における審美的要素
- 前歯切縁を結ぶライン(スマイルライン)
- 上顎前歯のプロファイル
- 前歯間のプロポーション
- 歯肉の外形
- 歯肉の審美的考察
3)修復治療に際しての歯周組織への配慮
- 歯肉縁下マージンの注意点
- マージン形態と適合性
- Dento gingival Complex – John Koisの考え方
- 歯牙の解剖学的特性と歯冠形成
- 歯肉リセッションを最小限とする為の注意点
第8回 歯周補綴治療、歯周病治療
1.包括的診断と治療計画の作成訓練:実習
- 複雑な問題を同時に有する症例の治療計画立案実習
- 治療計画立案に際する考え方とその根拠
- 出席者によるケースプレゼンテーション
2.長期Follow Up症例提示
3.歯周補綴治療、歯周病治療
第9回 インプラント治療
1.包括的診断と治療計画の作成訓練:実習
- 複雑な問題を同時に有する症例の治療計画立案実習
- 治療計画立案に際する考え方とその根拠
- 出席者によるケースプレゼンテーション
2.長期Follow Up症例提示
3.インプラント治療、局所的な介入、全顎的介入について
第10回 局部義歯による治療
1.包括的診断と治療計画の作成訓練:実習
- 複雑な問題を同時に有する症例の治療計画立案実習
- 治療計画立案に際する考え方とその根拠
- 出席者によるケースプレゼンテーション
2.長期Follow Up症例提示
3.局部床義歯の臨床:
- 局部床義歯の分類
- 局部床義歯の各構成要素とその意義
間接維持装置:クラスプ設計の基本原則
直接維持装置:問接維持装置の設定位置と回転軸 - レストとレストシート
- 局部床義歯の咬合の与え方
- 局部床義歯のリライニングとリベーシング
- 局部床義歯成功のポイント
- 遊離端における支持について
第11回 歯科医のアカウンタビリティー(責任)とカウンセリング能カ
1.初診時データコレクションとスタッフの役割
2.初診時データコレクションとスタッフの役割
a.経済心理学の応用
b.治療費に対する患者の意見
3.リコール
a.患者は何によって動機づけされるか
b.リコールの方法とその重要性
4.インフォームドコンセントと患者コミュニケーション
a.インフォームドコンセント
b.治療時の患者とのコミュニケーション
c.歯科治療時の患者心理
5.患者との関係におけるリスクマネージメント
a.治療に対する不安や訴訟の背景
b.正しい患者との接し方
c.紹介状の書き方
6.如何にカウンセリング(治療内容説明)を効果的に行うか
:参加者が患者と術者になって全員参加型の実習
a.カウンセリングに際しての心得
b.患者の性格別分類に基づく対処法
c.治疲計画の呈示法一私からのアドバイス
7.カウンセリングに対する患者の受容をいかに導くか
第12回 受講生ケースプレゼンテーション
治療計画の提示
現在進行中の症例の経過報告の提示
建設的なディスカッションを予定しております。